新潟県長岡市の有限会社グリーン様に、大規模な稲作農業をするうえでの今後の課題を伺いました。
新潟県長岡市の有限会社グリーンは、ネットを通じた米の直販事業にいち早く取り組み、食の安全を求める消費者から支持されている農業法人です。高齢化などから耕作できなくなった地元農家の農地を借り受け、約35haの田んぼを管理しています。若くて志ある社員6名とパート2名を継続的に雇用し、経営視点で次世代の農業を実戦。代表取締役の平石博さんに、大規模な稲作農業をするうえでの今後の課題を伺いました。
稲作は雑草との戦いです。中でもノビエは稲に与えるべき養分を横取りして成長を妨げ、自らは稲を覆うほど大きくなって日当たりを悪くしてしまう天敵。ノビエが繁殖すると米の品質が低下するだけでなく、収量が2〜3割減少すると言われています。約35haの圃場を栽培している弊社にとって、収量の減少は経営危機に直結する大問題。ノビエを防除するためにきちんと除草剤処理と水管理を行うことは米農家の常識です。
現在では除草剤の技術が発達し、田植時期に水田に処理する「一発処理除草剤」で収穫時期まで雑草を抑えることができるようになりました。ただし、除草剤を長く効かせるためには、田んぼの水深など様々な条件がしっかり整っていなくてはならず、管理面積の広い大規模経営では夏場の雑草発生がどうしても問題になります。
しかし弊社が管理している圃場は地元の地主さんたちからお預かりしているものが大半なので、3反以下の田んぼが多く条件もさまざま。35haとはいえ田んぼの数は100枚以上になります。会社の規模が大きくなっても、水管理を自動化するのは難しいのが現状です。毎日できるだけ多くの田んぼを見て回るようにしていますが、すべてを回ることはほぼ不可能です。農業経験の浅い若い社員もいるので、目が行き届かない部分ができてしまうのはある意味やむを得ない面があります。
10年ほど前のことです。はじめはたった1粒、ヒエの種が落ちただけだったのかもしれません。それが、水管理ができなかったために100粒、1万粒と増殖。結果としてその年はお盆過ぎまで草刈りに追われ、大変な思いをしました。夏の暑いさなか、カゴを背負っての草刈りは大変な重労働です。米の品質低下もさることながら、そんな過酷な作業が続くようでは若い社員たちはついてきてくれません。農業経営者として大いに反省した出来事でしたね。
その翌年、雑草防除の決定打として手にしたのが『クリンチャー』でした。水管理が難しく、一発剤を使用してもノビエを防除しきれなかった場所を見極め『クリンチャー』を使用してみたところ、効果はてきめん。収量や品質に影響することもなく、おいしいお米が収穫できました。今では稲刈りの時期にヒエが頭を覗かせていることなどあり得ません。『クリンチャー』なくして稲作なし、と思っているほどです。
『クリンチャー』散布の見極めは「溝切り」作業と同時に行っています。溝切りとは、田植えから1〜2カ月後に行う作業で、排水をスムーズにして中干ししやすくする効果があります。かつてはこれも重労働でしたが、近年は専用の溝切り機ができたこともあり、以前と比べて随分と楽になりました。
溝切りには土中の有害ガスを抜く効果もありますが、ノビエや他の雑草がどこにどれだけ発生しているかを確認できるという一面もあります。弊社では溝切りを担当する社員が雑草の発生状況を見極め、散布が必要なポイントを地図に示し、クリンチャー担当の社員と共有。必要な場所にだけ適正量の『クリンチャー』を散布することで効率よく雑草を防除できています。
当社で雑草管理を行っている社員は『クリンチャー』のメリットを次のように話しています。
「一発除草剤は処理した後、一ヶ月程度は雑草の発生を抑えることができますが、少しでも水漏れがあれば除草剤成分は田面水と一緒に流れてしまい除草剤の効果は悪くなります。一方でヒエ防除の時期は雨が降りやすいのが実情。『クリンチャー』は散布後に雨に当たっても効くので助かりますね。水変動の影響を受けにくく安定した効果を発揮することが一番のメリット。つまり後からでもヒエ対策ができるという安心感があります」
弊社で栽培したお米は100%直販です。安心して食べられるお米を作れば、売り上げが上がるだけでなく、お客様から直接喜びの声をいただくことができます。仕事に対するやりがいを感じながら、そしてお客様が喜ぶ顔を思い浮かべながら、農業に取り組むことができるのです。
かつて私は、農業は毎年同じ作業を繰り返すだけでマンネリだと思っていました。けれど今は、作る喜び、売る喜びがダイレクトに感じられる仕事だと感じています。農業を次の世代に引き継ぐために大切なのは、この喜びもしっかりと伝えていくことです。そして、若い社員たちには、経営者としての視点を持って農業に取り組んで欲しいと思っています。
私自身の課題は、自分が引退した後も利益を出せる仕組みを作り、会社を引き継ぐことですね。とはいえ、管理する圃場を今より増やすのは難しい。求められるのは、稲作だけに頼らず新しい取り組みに挑戦することだと思っています。その手始めとして、米を使った「あまざけドリンク」を開発しました。今後は、より積極的に農業の6次化に取り組みたいと思っています。
安全で使いやすい農薬は、経営を安定させ農業を次の世代に引き継いでいくために欠かせないものです。私たちの声を集めて常に先を見据えた新製品を開発してくれるメーカーは、頼りになる存在ですね。
<取材協力>
有限会社グリーン
〒949-5414 新潟県長岡市飯塚1212
TEL 0258-92-3178
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